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 オカルト館の秘密


 このストーリーの主人公「ぼく」は、読者の分身−−つまり、キミ自身だ。
「ぼく」は ストーリーの中でさまざまな選択・決断に迫られる。そのときキミは「ぼく」に代わって、どの選択肢をとるか決めなければならない。一つの決定があとあとまでつきまとうことがある。その場かぎりで終わることもある。いずれにせよ、キミの判断によって物語は異なる方向に展開していく。
 このゲームでは小道具(サイコロなど)も面倒な計算もいらない。まず、次のシーンから始めよう。そのあとは選択肢で指示された番号へ進むんだ。では、スタート!


 昼飯のあとの古文は地獄だ。ひたすら眠気とのたたかいだ。内職する元気もない。しかも、人間だけではなさそうで、教室の空気までがのろのろと動いている。
 2学期が始まって三日たったが、夏休み気分が全然抜けない。休みの間に昼寝の習慣がついてしまい、この時刻になると、自動的に頭がかすんでくる。もっとも、古文の教科書を開くと条件反射で眠くなるのは夏休み以前からだが。
 ぼくの名は安藤勉。大田高校三年生である。一応写真部に入っているが、本当はステレオでロックをガンガン鳴らしたりバイクでぶっとばしたりするのが好きだ。
 好きだけど実行できない。ロックのボリュームを上げればすぐに近所から苦情がくるし、バイクは学校で禁止されている。法律で許されているのに学校で禁止だなんて、どう考えてもおかしいぜ!
 と、つっぱってはみるが じつは免許もバイクもまだ持っていないんだ。卒業したらすぐとるつもりで筆記試験の勉強はしている。ただ、オヤジもオフクロもシブチンだから、問題は金だ。夏休みのアルバイトじゃ全然たまらなかった。何かまとめて稼ぐ方法はない なあ。
 そんなことを考えているうちに、ようやく古文の授業が終わった。

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